No. 29 とっつあんと子供の祈り

事前にいっておくが、この投稿は書かれている本人たちの事前の報告をせずに書いた。 なので、本人たちがいやだ、という場合には、消去することもある。
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「男らしい」というのはどういうもんかなぁ。 どうしても、外見で判断しちゃうよね。 体ががっしりしていて、髪の毛は七三分けではなく、ちょっとぼさぼさ気味。 めしをがんがんかっくらって、「おいしっすよ!これ!」とにっとわらった歯が白い。 お酒にはめっぽう強い、スポーツマン。声が低くてでかい・・・てなことかね。 昔の私は、面食いで、背が180cm位の男性がいいな、と思っていた。 実際、そういう男性とも付き合ってきた。 (旦那は背は低いし、ハンサムでもないよ。カエルみたいな声してるし。)

年輪を重ねるごとに、本当の男らしさというのは、外見からは計り知れないのではないか、と思うようになった。 以前、仕事の上の失敗を上司に助けられたことがある。 その上司は、私が批判していた人間だった。 どちらかというと、「男らしい」というより、ちょっと「女々しい」感じの人であった。 でも、そんな私を助けてくれたんだよね・・・・。 今は、連絡をとっていない人だけど、この人には一生足を向けて眠れないと思う。

さて、うちの教会にも、私が密かに「男らしい」と思っている男性がいる。 「とっつあん」と呼びたい。とっつあんは関西出身で、日本人だけの礼拝(うちの教会は日本語英語の合同礼拝と言語で分かれた礼拝がある)の時、いつも、パタリロ牧師に指名されて、聖書を朗読する役目を担っている。 気に入ったのは、関西弁そのまんまで、ごっつう朗読してくれちゃうんだよね。 お国言葉を堂々と喋る人って好きなんだよね。 それに声がやや高音で、頭のてっぺんから出てくるようで、通る声をしている。 

私は江戸浜っ子だから、日本の今の標準語で育ってきてしまったので、けっこうつまらない。 かといって、関西弁を真似するとかなりの無理がある。 いつかどつかれるだろうな。 「おんどりゃー!下手な真似しくさって!」と。 そのとっつあん、着物着せて、扇子持たせたら、吉本興業並みにいい話をしてくれそうな、ちょっとひょうきんな感じもする。 関西弁だから、人あたりもやわらかーい感じ。 おっと、関西人とひとくくりにしてしまうと、また「おんどりゃー!」って怒られてしまうだろうかね。 関西もひろうござんして、京都、神戸、芦屋、ミナミ、伊丹、生駒、奈良、吉野などと、地域によって言葉がちがうんだろうなぁ。 とっつあんの出身ってどこだっけ。 まあ、関西には、数回しかいったことがない私で、よくわかんないから、ここでは関西とひっくるめさせていただきやす。 ごめんなすって。

私は教会に行き始めて、「すでに」なのか、「まだ」なのか、わからないが、一年半経った。 しかし、教会に来る人たちのことをあまり知らない。 未だに、名前を覚えていない人が沢山いる。 人に無関心でもあるし、他人の私的なことには、首を突っ込まないようにしている。 特に、日曜礼拝は友達を作るところや人と知り合う所とは考えていない。 月曜から土曜日の一週間に溜まってしまった祈りのDeficit(借金・足りなかった分)を埋め合わせするところ、だと思っている。 だから、あまり「XXXさんが、XXXなんですって。」ということは、興味がない。 但し、本人が私に直接、個人的な話を言ってくるのであれば、話は別である。

そんな調子であるから、とっつあんが誰の旦那であるかを知るのに一年くらいかかったかもしれない。 いつごろだろうか、礼拝の時、とっつあんと日本人の女性、そして、少女二人が一緒に並んでいたのに気がつき始めた。 少女二人は、どちらかの親が白人かなって、という外見だったので、近所の子か、ホームステイをしている子たちかな、と思ったこともある。 でも、あまり気にも留めなかった。 暫くして、4人がパタリロ先生に一緒に祈ってもらっているのを見て、家族である、ということに気がついた。 うーん。 とっつあんも奥さんも日本人だよな。 じゃあ、奥さんのほうがハーフで、子供たちに強く白人の要素が隔世遺伝かなんかで外見にでたのか・・・とも思った。 でも、まあ、いいやって、誰にも質問しないで、そのまんまにしていた。まあ、こんなもんなんで、人の名前も覚えられないのである。

しばーらくしてから、聖書研究会だったか、何かの機会で、奥さんとお子さんたちの話が出た。 以前は、シングルマザーだったそうだ。 母親と大黒柱を兼ねて、親子3人で、必死に暮らしていた。 なのに、その奥さん、一時解雇になってしまった。 もうだめだ!すべて終わりだ、と思ったとき、「お母さん、一緒に祈ろう。」と子供たちが自ら一生懸命祈り始めたそうだ。 その結果、子供たちのお父さん、奥さんにとっては、旦那さんになる人が与えられたってことらしい。 それ以上は詮索しなかったので、あまり詳しいことは、知らない。 ただ、私はとても驚いた。 子連れ再婚って、アメリカの男性ならば、普通、って捉えられる。 でも、日本の独身男性が、子供を連れたシングルマザーと結婚するってのは、普通じゃない。 悪い意味ではなく、「よっぽどのお人」なんだ、と感心の気持ちが湧き上がってきた。


この春、その奥さん=カリメロさんと教会の仕事の件で個人的に話をする時間があった。 とっつあんを賞賛するつもりで、とっつあんの話を出した。 個人的なことで悪いかな・・とも思ったが。 そしたら、カリメロさん、結婚が決まる時の話をしてくれた。 どうやって出会ったかは、聞かなかったけど。 とっつあん、長男か一人っ子らしい。 忘れちゃったけど。 「こういう人と結婚します」、と日本の両親に報告したあと、日本では家族会議が開かれたそうだ。 そうだよね。 家を継ぐかも知れない長男が、アメリカに行ってしまった、というだけでも、親は心細いのに、今度は、結婚。 それも、とっつあんは初婚で、相手の女性は、10代の子供二人いるシングルマザーとなると、親、親戚はいろいろ言っただろう。 それが、日本の現状だと思う。 うちも、結婚したい人がいる、それも、ずっと年上の離婚歴のあるアメリカ人、と親に報告したら、大騒ぎだったらしいもんね。

しかし、とっつあんは、大いなる確信があったんだろう。 親に対して、信念を見せたらしい。 親御さんたちは、「いつもは、人の言うことを素直にきいてきた息子がこれまでにして、信念をもって結婚したい、という女性だから、よほどの人なんだろう。」ということで、OKが出たそうな。 その後、カリメロさんもとっつあんのご家族に受け入れられたそうだ。 今の日本の浩宮皇太子が雅子さんに宣言した、「全力をかけてお守りいたします。」って感じだね。 すごいな、と思ったのは、とっつあんは、カリメロさんもそのお子さんもすべてひっくるめて、パッケージで、どーんと引き受けてしまったということ。 すごい度量の大きさだね、これは。 それも、初婚の身でさ。

もう一つ、考えさせられるのが、子供と一緒に祈る習慣をつける、ということ。 カリメロさんは、家でずっとそうやってきたんだね。 だから、いざ、という時に、子供たちが立ち上がり、祈り始めたんだ。 その結果、天のお父さんは、子供たちの祈りを聞いて、すばらしいお父さん=夫を与えてくれたんだね。 それに引き換え、わたしゃ、子供が病気になったときくらいしか、子供に祈らない。 どうも、人には祈る姿を見せたくないので、いつも一人で祈る。 家族がいると、食事前の祈りは私はしない。 子供にもあまり見せたくない。 でも、そろそろやってみるか。 今日、娘が買ったばかりのマラカスみたいなおもちゃを失くした。 あったまにきて、「こら!かかった金の3ドル、Tooth Fairyからもらって貯めてある小遣いから払え!」と怒っていた自分に反省。 (*Tooth Fairyというのは、子供の歯が抜けたあと、夜、枕の下に入れて寝ると、Fairy=妖精が歯を持っていく代わりに$1くらいを置いていく、という御伽噺みたいなこと。 なので、歯が沢山抜けた娘は結構金持ちなのである。) 明日、「失くしたおもちゃが見つかりますようにって、神様に一緒に祈ろうね」と一緒に祈ってあげよう。


とっつあんと私は同じ6月生まれ。 先週の土曜日がとっつあんの誕生日だった。 でも、カリメロさんが歯の手術をしたばかりで、一緒にデートのお食事もできない状態だろうから、せめて、この投稿をとっつあんの誕生日のはなむけとして、土曜日にアップロードしたかったのであるが、遅くなってしもうたわい。 とっつあんにいくつ?と聞いたら、31歳だって! 干支一回り以上ちがうじゃんか! さらに、この結婚を20代後半あたりでした、ということなんで、改めて驚いた。 普通じゃ、出来ないよなぁ。 

ということで、とっつあん、お誕生日おめでとう。 これ読んで、個人的なことなので、いやであれば、消すから、教えてチョ。

あかしや

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