No. 122 仕事のピークが始まったで

うー、さむっ。 ダラスは今日も冷える。

おまけに、私は風邪をひきつつあって、はなみずじゅるじゅる、咳少々、頭痛少々。 今、お茶をすすりながら、書いている如月のおついたちの夜である。

一月下旬は、雇用主が従業員にW-2という、昨年の所得と所得税、日本の厚生年金と国民保険のようなものの保険金を給料から払ったで、という書類を発行する時期である。 

ちなみに、アメリカには、日本のような国が行う「厚生年金」と「国民保険」のようなものは、ない。 年金は、各会社で。 やらない会社もある。 国民保険は存在せず、老人保険と低所得者保険はある。

アメリカは、一応、先進国なのだが、ヨーロッパと日本が享受している国民皆保険、年金というものがないのである。 自分の健康も老後も金次第、というのである。 この現実を知ったとき、ほんまに、怖い国や、と思ったものである。


日本では、所得税は、給料からの源泉徴収なので、扶養家族のことを一寸かくくらいで、税金に対して国民がすることってあまりない。 私のように、いくら税金を納めているのかも無関心である。 

一度、計算したら、なんだかんだ30%とられていた。 信じられず、忘れることにした。 でも、今、思うと、日本だって、税金は高いと思う。


しかし、アメリカでは、支払う税金の帳尻あわせは、Tax Filingを各自がするのである。 従って、自分がどのくらい税金を払ったか、というのは、分かる。 特に、自営業を始めて、初めてTax Filingをするときは、それまで何もしないでいると、10万円、20万円、時には100万円という税金を納めなければならないことに愕然とする。 雇用主がいないから、税金が源泉徴収されていなかったためである。

一般の人で、人様に雇ってもらっている身分の人たちは、雇用主からW-2が発行される。 従業員は、源泉徴収されている。 Tax Filingのときにいろいろ計算して、源泉徴収される金額が、おさめるべき税金を上回っていれば、税金の払い込みすぎということで、税金の還付がある。 つまり、税金がもどってくる。 なので、Tax Returnというのである。 でも、常に、Returnではなく、Balance Dueが生じることもある。 なので、私は、Tax Filingということにしている。

その税金の還付は、時に、大きく、時にあまり大きくない。 年収と扶養家族によっては、Earned Income Creditがもらえる人も沢山いる。 子供一人当たり$1000のChild Tax Creditもあるし、老後年金のFundにお金を入れた人にも、Creditがある。 その他もろもろのCreditがあるから、人々はそれを期待して、わが事務所にくる。 

ちなみに、Creditとは、税金そのものを減らすものである。

人によっては、上記のクレジットのため、税金の還付、つまり、Tax Returnが60万円とか、40万円も戻ってくる。 そのお金を期待して、というか、すでに一年の生活費の中にあるべきお金として、考えている層が沢山いる。 Tax Returnは、いわゆるRefundである。

その為に、W-2をもらった時点で、うちのTax Officeには長蛇の列ができる。 今がそのピークである。 昨日の土曜日は、Officeには、10人のTax Proがいたけど、どれもClientに対応していて、待つ人も沢山いた。 私は、朝10時から夜の9時までClientのTax Filingをしていた。 

今年は、経済状態が悪いから、Return,つまりRefundを求めて来る人がいつもより早くOfficeに来ていた。 リファンドを一日でも速く欲しいがため、とても高い銀行手数料を払っても、今日、リファンドをくれ、という人がかなりいる。 それで、借りたお金を返している人も沢山いるし、子供の食べ物、医療費、クレジットカードの支払いにあてているのである。


このTaxのお仕事は今年で2年目。 朝、早く行くようにして、前日のFilingがIRS(国税局)から戻されていないかどうかチェックすることにしている。 これは、先輩に徐々に教わっている。

今や、税金もE-Fileといって、Filingを電子的にIRSにファイルする。 IRSのデーターベースと銀行のデーターベースがFilingの間違い、エラー、その他をチェックして、その結果が数時間でわかるのである。

早朝の仕事は、エラーなどがあったら、Filingをみて直すのである。 他のTax ProがしたFilingでも直す。 顧客がRefundを今か今かと待っているのであるからして、迅速な対応が望まれる。


先日、先輩のTax ProがしたFilingがIRSから拒否されていたので、直した。 2年目の私とって、初めての試み。 ちゃんとできたか心配だったので、翌朝、仕事の日ではなかったのだが、Officeにいった。 仕事をするつもりはなかったから、ねまきでいった。

ねまき?? というか、トレーニングウエア。 でも、化粧もせず、そこらへんをほっつきあるいてるおばちゃんの格好で。

その1時間後、私はねまきでお客に対応していた。 そう。 Tax Filingをねまきでしてしまったのである。


帰ろうとしたら、急にお客さんが押し寄せてきて、当番の人だけでは手が足りなくなってしまった。


対応したのは、大工さん。 Filingをしながら、世間話。 長い話が、その日の午後、その大工さんと弟さんも大工だが、ご兄弟でうちに来て、家具を直してくれた。 もちろん、お金は払った。 長年、直したかった家具だったので、それが5時間くらであっという間に直ってしまった。

家に上げる人なので、信頼できる人間がいいと思っていた。 Tax Filingをするとき、Tax Interviewをするので、人柄というのは、話始めると大体分かってしまう。 その大工さんは、真面目そうな方だった。 いや、実際、一生懸命お仕事をしてくれた。 


ねまきで対応したお客さんに家具を直してもらって、という変な形で、私の仕事のTax Seasonは幕を開けた。 冗談のようで、ほんまの話である。

その矢先に風邪をひいた。


あー、これから、2週間、ものすごく忙しい日々となるのに。

なので、今日、教会でパタリロ先生に祈ってもらった。 体がもちますように。


おととい、今年にはいってから頂いた給料明細を見て、その10%を計算した。 足早に近くの銀行にいって、その金額をおろしてきた。 そして、封筒におさめて、自分の書斎の棚に置いた。 日本人の感覚で言えば、大切なものを神棚に納めるって感じかな。

このお仕事、神さんにきっちりと10%納めたくて始めたのである。 勿論、子供たちの習い事と日本人学校の授業料のためもあるけど。 

でも、神さんのために働くという気持ちが常にある。 

Office Managerのボスだって、神さんが選んで、私の上司に備えてくれた人である。 しっかりと指示に従うことにしている。 

Officeは北ダラス方面では、一番大きいオフィスらしい。 なので、長年働いているTax Proの方もいる。 私は、いまのところ、ぺーぺーである。 食物連鎖の最下位である。 だから、先輩が年下でも、先輩だから、従うし、お手伝いする。 

時に、新しいBossの文句や、他のTax Proが誰かのClientを取った、という話も聞こえてくるが、あえて、文句や、その場にいない人の批判が出てきたときは、私はその席から立つようにしている。 惑わされないように、Negative Talkをきかないように、と。

ただ、ただ、あんたの為に働きまっせ、神さん!

******

昨日のことにもどる。 午後、私にTax Filingをしてもらいたい、とじっと1時間まっていてくれたClientがいた。 去年、対応したClientである。

Filing Fee、つまり、私どもの儲けは、大きな金額ではないClientであった。 去年は、解雇されて、70箇所仕事を探したといっていた。 なので、年収は前年より低い。 でも、子供がいない独身者でも、Earned Income Creditがもらえる状態であったので、その書類を揃えた。 昨年よりも、手数料がかかってしまったけど、その人は、少ない収入のなかからでも、ちゃんと手数料を払ってくれた。

多くの人は、RefundからFilingの手数料を引くアレンジをする。 その場合、$30の銀行手数料がかかる。 それでも、手元にお金がないので、$30ときに$100近い手数料を払ってでも、Refundをすぐに手にする人がほとんどである。

でも、このClientは、銀行手数料を払わず、直接私のOfficeに手数料をはらい、Refundを今日明日ではなく、2週間まって受け取ろうという人であった。 経済状態が悪い今日、本当に自制のある行為である。 

過去の医療費の借金を抱えて、地道に返済している人であった。 そして、今年こそは、建築家になるために、4つのコースを何とか終わらせたいと言っていた。 

私は、「では、来年のこの時期、あなたの職業欄に、建築家、とインプットできることを楽しみにしています!」と励ました。 来年も、私にFilingをしてもらいたい、ということだ。 本当にうれしい。 

お金ではない。 

神さんと、私を信頼してくれているClientの為に働くのである。

Clientの争奪戦や、いかに速くFilingして、数をこなす、というゲームには、私は参加しない。

神さんの為に働き、10%を神さんに返していけば、神さんは、必ずいいようにしてくれるさ!!


さてと、もう夜中の12時近い。 風も吹いてきたようだし、底冷えがする。

明日も8時半には、Officeだ。

神さん、私の体がもつように、見守ってくだせい。

コメント

このブログの人気の投稿

No. 39 「沈黙」

No. 85 It Is Well With My Soul  やすけさは川のごとく  (その1)

No.1 こんな人間が何でクリスチャンになったのか・・・独り言をはじめる理由

No. 24 ヒューストンの日本人教会  Japanese church in Houston, TX

No. 203 「風が吹く」

No. 9 君は愛されるため生まれた

No. 159 断食祈祷 Day 1

No. 31 聖歌・賛美歌・ゴスペルソングMIDI  「いつくしみ深き」