No. 211 かなしい坂|腹切りのDNA
あたしは江戸っ子でも、深川のような東側の江戸ではなく、西側。
母の記述には、「武蔵野」という言葉が出てきた。なので、千川とか、玉川上水という名前が親や親せきの会話のなかで聞こえてくる幼少期を過ごした。
玉川上水は太宰治が入水自殺をしたところ。
江戸時代に江戸っ子への生活用水を供給する為、開発された。
重機がない時代なので、くわで掘った大規模な工事であったろう。工事の期間は1652-1654年である。
多摩の方から掘り進み、福生、日野あたりに差し掛かったところ、岩盤と関東ローム層の地盤に差し掛かり、水が土中にしみこんでしまったそうだ。そこで、難関にさしかかった。
以下、Wikipediaから抜粋する。
「工事にかかわった役人たちは、失敗の責任を問われて処刑された。その際に役人が「かなしい」と嘆いたことから、この坂に「かなしい坂」の名が付いたといわれ、今にいたっている。」
理由は人間の力が及ばない、地盤と土の性質。
なのに、人が死ななければならないのか?
”処刑”させらた、と書いてあるが、たぶんだが、お侍さんだから、名誉の為、切腹だったかもしれない。
玉川上水に関しては、詳しい資料は残っていないようだが、もう少し調べればでてくるかもしれない。
歴史本を読むと、江戸時代は、何かあれば、すぐ「切腹!」であった。
NHK大河ドラマで、あたしたちは、何度も何度も切腹のシーンを見てきた。
江戸時代の日本はいつも人身御供(ひとみごくう)を求め続けてきたように思える。
そして、事象の原因には、どこにもその理由が見当たらないにしても、誰かに「責任」=爆弾を負わせなければ、「気が済まない」「落とし前がつかない」風潮があっただろう。
そして、300年続いた江戸時代の「切腹りDNA」は今の日本人にものこっているのではないだろうか。
2000年から10年間、日本の自殺者数は年間3万人であった。
2010年ごろから減少傾向となり、2018年は2万人。
自殺者が多いのは、働き盛りの40-60歳代。
仕事関係で、責任を取る、という名目で自殺する人が多いからであろうか。
知り合いの人のお父様は銀行のお偉いさんであった。
20年前、何らかの不祥事があったのだろう。自殺されたことを新聞で知った。
近年は、ゆとり世代の方の自殺もニュースでみた。
とある大手広告代理店や飲食業のチェーン店に勤めていた人の自殺。
そして、昨年2020年はコロナ禍で自殺は増えている。
自殺する人は最後は誰にも相談しない。バスケットボールのチームメイトがそうだった。
そこまで追い詰められている、そこまで自分を追い詰めてしまっているのだろう。
誰にでも、困難はくる。
でも、あたしら、イエス営業部の人間は、どんな時でも、最後は頼る存在があり、希望が持てる。
最後の最後に頼る存在が心の中にあれば。。。と思う。
10年以上前に教会に来てくれたアメリカ人で、元関取の方が話してくれた。
お酒を辞められなかった。神様に祈っても祈っても辞められなかった。
「ある朝、スーパーの駐車場で自殺を図ろうとした。その時、朝日が昇ってきて、イエス兄さんに会った。」
どういう経緯かは、もっと詳しく聞けばよかった。
想像するに、銃口を体のどこかに持って行き、引き金に指をかけた時、兄さんにであったのだろう。
光を見たことは確かであっただろう。
「私は、世の光です。私に従うものは、決して闇の仮名を歩むことがなく、命の光を持つのです。」
ヨハネ 8:12
そういう光が、今、暗闇の中を取っている人に注ぐことを祈る。
江戸時代のDNAを、あたしたちは、あたしたちの代で断ち切ることができると信じる。
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