No. 10 まぼろし

うちの教会には、島倉千代子がいる、といったら、反応は以下であろう。  

1. ええ! 本当?! 

2. またぁ、いつもの冗談だぜ。 何がいいたいんだよー、おまえ。 

3. 島倉千代子って誰ですか?  

1.の反応を示す人たちは、素直な人で、純粋な人だ。 悪い人にだまされないでね。 
2.の反応の人は、ダチである。 よく、わかってるじゃん。 
3.の人は、私が「歳をとったなぁ」と感じざる終えない、若い世代の人たち。  

日本語学校の間に他の永住者のお母さんとお茶するんだけど、この土曜日にだって、歳の話になって、私が一番年上ってわかった。 

札幌オリンピックをしらない人が多い! スキージャンプで笠谷選手が金メダルをとったとき、アナウンサーが、「笠谷! やった! 飛んだ!飛んだ!飛んだ!飛んだ!飛んだ!飛んだ!飛びました!」と興奮して、叫んでいた。 

何回「飛んだ」をいったのか、が暫く話題になったほどである。 

若い人たちは、ロサンゼルスオリンピック、カルガリー、あたりからの記憶があるんだろうなぁ。 まあ、そんなお茶話をして、出るときに言った。「年寄りをいたわらなきゃ、いかん!」

島倉千代子に話を戻そう。 


彼女は、私たちの親の年代にファンが多い、ベテラン歌手である。 事実、私の今は亡き母方のおじがファンであった。今は、イメージチェンジして、ダンスナンバーなどを出しているらしいが、私の子供の頃は、「からたち日記」を聞いた覚えがある。 母もおじも、島倉千代子の声って、「鈴がなるような声」なのよ、と口を合わせて言っていたっけ。 

その「鈴」のような声をもっているのが、うちの教会の賛美リーダー、こにしきさんなのである。  前回の投稿の「ディスコ ICC」で、ロックコンサート、と書いたが、中には、静かでしっとりとした歌もある。 

今年の復活祭は4月16日であったが、旦那が始めて教会に来た。 旦那の母親と弟さんが滞在していたからもあるだろうが。 その旦那が、こにしきさんの歌に聞き入っていた。 

家に帰って、「いやー彼女は歌えるねぇ・・・。」と感激していた。 ところで、教会の人たちが旦那の弟を旦那のお父さんと間違えていた。 お父さんは、家で犬と猫とで留守番していた。  

牧師のパタリロ先生が飛び跳ねるロック調ではなく、しっとり、じーん、ぐわーっと感動する曲は: 「Simply Come」 「Because of Who You Are」 「Above All」などなど。 

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アメリカに来る前、イタリア人の彼がいた。 ヨーロッパに住む人と、日本に住む日本人なので、長距離のお付き合いだった。 時差があるから、やつは夜中の3時とかに電話をかけてきた。 

週末に電話してきても、私は家にいないことが多かったから、留守電が残っている。 さすが、イタリア人。 留守電に歌を残している。 普段の声からは考えられない、いい歌声してたんだよね。 

私がアメリカに行くことになり、またいつか、と別れた。 


アメリカに留学してから半年位たったころ、マクロ経済学の授業に出ていたある春の日の午前中であった。 

500人くらいが聞いている授業なので、講堂で行われ、プロジェクターで授業が行われていた。

講堂のステージで講義している教授の話を聞いていると、ふと、そのイタリア人の彼の顔が浮かんだ。 

ちょっと距離があった。 一瞬で、うっすらとしていた。  

もしかして、彼は、日本にいたんじゃないか、それとも、病気かなって。

心配になり、自分の部屋に帰って、彼がいつも滞在していた東京のホテルに電話した。 

「はい。 XXX様は先ほど、チェックアウトされました。」 そうか。 ホテルを去るときに私のことを思ってくれていたんだね。 いままでなら、一緒に時間を過ごしていたのに、今回の滞在では、私はもう日本にいなかったから、寂しかったんだろうね。 それが、彼の日本での最後の滞在だったのかもしれない。 

そのあと、彼は本国ですごい出世をした、と風の便りに聞いた。   

でも、不思議なことがあるもんだ。 映画のようなジャーン、という感じではなく、本当に一瞬、うっすらと見えたんだから。 

これを読んでいる人にも、多少なりとも、似たような経験をしたことのある人はいると思う。   


母の葬式の3日後、20年近い付き合いの飲み友達を誘って、東京の御茶ノ水にある「お茶の水クリスチャンセンター」に足を運んだ。アーサー・ホーランドが主催しているブレッシングナイトに行くためであった。 

受付で、どちらの方ですか? と聞かれて、「いやーあのーアメリカでアーサーにあって、それできたんだけど・・・」と、もごもごしていたら、「アーサーの友達なら、お金いりません。」と入場料がただになってしまった。 友達の分も。 これは、あとで、献金したけどね。 

アーサーに挨拶しにいった。 「おー! きたかぁー!! お母さん、亡くなったんだって? あとで、話しような。」  

 その日はシューブという日本人のゴスペル クワイヤ グループのコンサートがあった。 いやー、ゴスペルを歌える日本人、それも若い人たち、がこんなにいるのには驚いた。 すばらしかった。 ダラスにも来てもらいたい。 でも、大人数だから、飛行機代が大変だろうけど。 胸打つコンサートであった。 

いろいろな歌があったが、多分、上記の「Because of Who You Are」 (だと思う)、を歌っていたときであった。 突然、こみ上げてくるものがあって、胸がつまり、涙がどっと出てきた。 

頭がかーっと熱くなった。 

そして、ステージの上部に雲に包まれた、誇らしげな顔をした母が見えたのである。 

それも、とても大きく。   



母とは去年の10月に病院に一週間泊まって一緒に時間を過ごした。 その間に、不思議なことが起こり、母は、「イエス様、信じなかった私をお許しください。 イエス様、あなたを信じます。」と失っていたイエス兄さんへの信仰を取り戻した。 そして、2ヵ月後、母は召された。 

長い長い患難と身近な人間からひどい仕打ちを受けたあと、転院転院を繰り返し、自分の家からひきはがされ、横浜の家から遠く離れたところにある、精神病院で迎えた死であった。

はたから見れば惨めな最後であっただろう。 


人に涙を見せるのはいやだから、葬式の前後は、夜、部屋で一人になると、ぼろぼろ泣いた。 

「神様、母にもう一度会わせてください! 母にもう一度会わせてください!」とぐじゃぐじゃになりながら、毎晩、何度も何度も頼んだ。 


そして、数日後に母のまぼろしを見たのである。 

ゴスペルソングが連れてきてくれたのだろう。  


前投稿、「ディスコICC」 で書いたとおり、歌を歌うと、お父さんはそばに来てくれるんだよー。 ほんまやで。 

だから、私はこにしきさんが、「Because of Who You Are」 を歌いはじめると、嬉しくてたまらないのである。 母に会わせてくれた歌だから。  
今日の投稿は、こにしきさんが、もっと賛美と教会のことを書いて、とメールで言ってくれたので、賛美のことを書いたよ。  すごいよね、賛美って。 

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津波、不思議なこと、いったい、なんなんだ! もったいつけやがって、早く書け!と思う方々、これからじっくりとかいていくからね。 でも、結構大変なんだよん。 本当にいろいろありすぎたから。 じゃあ、今日は、もう寝るわ。 夜中になっちゃったよ。     
 あかしや番頭   


追記:2020年12月時点

  • 島倉千代子は2013年、爺さんは2015年に亡くなっている。
  • 婆ちゃんは、2020年12月現在106歳でぴんぴんしている。
  • 上記リンクは直していないので、つながらない場合がある。
  • インドネシアの津波については、まだ(2)を書かずに10年たってしまった。やっと今からかけるような気がする。

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